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バイク・雑感
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「 2006年11月 」 の記事一覧
2006.11.30 Thu
1988年 - フルパワー最後の年 -
私がWOLFを手に入れた1988年。
当時のバイク雑誌の広告には判で押したように「フルパワーはこれで最後」といった
煽り文句が並んでいた。だが、「フルパワー」と聞いてもピンとこない。
「フルパワー」と言えば、普通思うのは馬力の上限無しである。
だが、250ccクラスは、1983年に発売されたスズキRG250Γの最高出力である45馬力、
400ccクラスは、1984年に発売された同じくスズキGSX-R400の最高出力である59馬力が
上限としてメーカーの自主規制値となっていた。
では、なぜ「フルパワー」なのか?
それは、翌年(1989年)から速度(馬力も?)リミッターが装着されることになったから。
では、なぜ1989年からリミッターが装着されるようになったのか?

これから話す理由は、当時仲間内で流れた噂であり、多分に都市伝説的内容であることを
断っておく。
実は、ホンダNSR250の1988年型。このモデルがリミッター装着の引き金になったと言う。
カタログ上は自主規制値の45馬力で他社のマシンと横並びなのだが、走って見るとなぜか
NSRが頭ひとつどころか二つ三つ速いらしい。
それも旋回性うんぬんでなく、もろにパワーの差が出る直線で違いが顕著に出ると言う。
それを見たのかどうか知らないが、ホンダから'88NSRを借り上げて調べたところ、
全くのノーマル状態で、45馬力どころか400ccの規制値である59馬力が出ていたとか。
その事実に怒った運輸省が、規制値遵守のためにリミッターの装着を求めたとか。

実際のところはわからない。
単純に250ccで最高速200km/hを越える(400ccは言わずもがな)ことに危険性?を
感じたのかもしれない。
だが、MVXからWOLFに乗り換えて、カタログ数値以上のパワーの差を事あるごとに
感じてしまうと、あながち都市伝説とも思えなかったりするのである。

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2006.11.29 Wed
WOLF - 2 - 「納車」
商談から2週間半ほど経ったある日、バイク屋から待望の連絡があった。
さっそく、ヘルメットとグローブを持って徒歩でバイク屋に向かう。
車両、諸費用代を払い、自賠責等の書類を貰ってしばし雑談。
話が途切れたところで、社長が「じゃ、バイクを(店の前に)回すから」と席を立つ。
いよいよWOLFとの御対面だ。
いままで雑誌やカタログの写真は見てきたが実物を見るのは初めてである。
ドキドキ、わくわくしながら店の前で待っていると、社長がゆっくりとWOLFを押してきて
私の前に停める。
「これがWOLF(現代バイク)か」
いかにも剛性の高そうな鈍く輝くアルミフレーム。カウルが無いせいで、やたらに目立つ
巨大な湾曲ラジエター。おかげで丸目1灯のヘッドライトが妙に小さく見える。
そして、250ccクラスとは思えないほど大径(41mm)のFフォーク。
ストローク長もMVXとは比べ物にならないくらい短い。
車体後部に目を移すと、これまた剛性の高そうな太いスイングアームに、深いローレットが
刻まれたアルミステップにペダル。
ナンバー下端くらいの位置まで跳ね上がったサイレンサーはまるで社外品のようだ。
ひととおり車体を眺め回し終わったので、跨がってみる。
「うわっ!低い!」
シート高は755mm。MVXが780mmだから25mm低いだけなのだが、体感する差はそれ以上。
両足がほぼベタッと着く、足着きの良さに驚く。
ステップに足を乗せ、ハンドルに腕を伸ばすと、見事なくらいの前傾姿勢。
VT、MVXも軽い前傾姿勢だが、はっきり言って比べ物にならない。
WOLFに比べたらVT、MVXは直立姿勢と言っても過言ではない。
だが、ハンドルは適度に近く、膝の曲がりもバックステップに慣れた私にはちょうど良い。
なんというか「やる気にさせるポジション」である。
「うーん、いいなぁ」と独りごちながら視線を下に落とす。

20061128183600.jpg

エアプレーンタイプのタンクキャップとエア抜きのパイプが、なんともレーシー。
しかもハンドルはトップブリッジ下という、数年前の市販車では絶対認可の下りない位置に
取り付けられている。
だが、メーター類を見てちょっとがっかり。
3連メーターということで、てっきり中央がタコメーターだと思い込んでいたのだが、
画像のとおり、中央はスピードメーター。しかもでかい。
認可の都合上このような配置、大きさになったのかもしれないが、
もう少しなんとかならなかったものだろうか?
ちなみにタコメーターの目盛は、初代RG250Γからのスズキの伝統「3000rpm以下の表示無し」
を頑固に守り続けている。
と、あらかた眺め回し終わったので、キックペダルを引き出し「うりゃっ!」と蹴り込む。
MVXよりも明らかに軽い踏力でWOLFのエンジンは簡単に目を覚ました。
その排気音は、気筒数は違うが同じV型のMVXと共通するところはあるが、
MVXよりも低く乾いた野太い排気音だ。
暖機をしながら、ウインカー等、スイッチ類の説明を受け、水温計の針が動き出したところで
社長に挨拶して、発進。
MVXよりも格段に力強い低速域のトルクににやけながら、帰宅したのだった。

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2006.11.28 Tue
WOLF - 1 - 「バイク屋にて」
さて、バイク屋に到着。
店の前にMVXを停め、はやる心を落ち着かせながら自動ドアの前に立つ。
自動ドアが開くと同時に「いらっしゃいませ」と女性の声。
見ると、普段社長が座っている席に、歳の頃20代後半と思しき女性が座っている。
『ん?この店に女性はいなかったはずだが・・・』
普段と違う状況に少々戸惑いながら、女性に会釈して切り出す。
「あの、WOLF(ウルフ)が欲しいのですが」
「ウルフ・・・あ、HI(ハイ)のウォルターウルフですか?」の言葉に思わず絶句。

ここで甚だ簡単な説明。
「HI(ハイ)」は当時、スズキから出ていた50ccのスクーター。
「ウォルターウルフ( Walter Wolf )」とは、1977年〜1979年にF1に参戦していた
「ウォルターウルフレーシング( Walter Wolf Racing )」のカラーリングである。
スズキは、イメージ戦略の一環としてこのカラーリングの使用権を買ったらしく、
1985年〜1987年、全日本500ccクラスでこのカラーのRG-Γ500、RGV-Γを走らせた。
そんな経緯で、市販バイクにも「ウォルターウルフ」カラーが設定されていた。

というわけで私の欲しいウルフではない。軽いめまいを覚えながらも気を取り直して
「いえ、スクーターじゃなくて250ccのバイクで・・・」と言いかけると、遮るように
「あぁ!Γのウォルターウルフですね!」と笑顔でのたまう。
すっかり脱力してしまったが、ここで負けるわけにはいかない。更なる説明を試みる。
「いや、Γのウォルターウルフじゃなくて、V型Γのカウル無しでウルフというのが・・」
私の説明を聞いた途端、女性は「う〜ん」と考え込む。だが、答えは浮かんでこないようだ。
私と彼女の周囲だけ空気が重くなる。そのあまりの圧迫感に逃げ出そうかと思いはじめた時、
「あぁ、いらっしゃい。どうしました?」
空気の異変を感じたのか裏の整備場から社長が顔を出す。
「ウルフが欲しいんですけど。V型Γのカウル無しで最近出たやつ」
「あぁ、ウルフね。ちょっと待ってて。カタログあるから」やっと話が通じた。
ウルフのカタログを広げて商談というか話が始まる。

20061128183547.jpg

「赤と黒の2色あるけど、どちらにする?」
迷わず「黒」と答えると、「黒ね。ちょっと待ってね」社長はどこかへ電話をかける。
電話を終えると「今、メーカーに在庫を確認したんだけど、赤はすぐ入るから今週中に納車。
黒だと入るまで2週間かかるそうだから納車まで3週間くらい待ってもらうようになるけど」
3週間は長い。だが、ここで妥協して後々黒が良かったなんてなるのも嫌だ。
「いいです。待ちますから黒でお願いします」
「わかった。黒ね。なるべく早く入れてもらうようにするから。あと値引きなんだけど、
うちは大きな店みたいにはできないけど、何か付けて欲しい物はある?」
「そうですね。じゃあ、車体カバーを付けて下さい」
で、商談終了。
こうして、バイク屋との長い付き合いが本格的に始まったのだった。

ちなみに、なかなかボケた応対をしてくれた件の女性は社長の奥さん。
たまに顔を合わせた時など、いまだにこのネタでからかっている。

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2006.11.27 Mon
「その名は・・・」
いそいそと万引き購入した「月刊○ート○イ」を片手に帰宅。
涎を垂らさんばかりに、そのバイクの写真に見入る。
剛性の高そうな極太のフレーム、何かに襲いかかるかのような低いポジション。
そして、大変掃除がしやすそうなホイール。
「う〜ん、素敵だぁ」

WOLF1


そう、1988年に並列2気筒からV型2気筒へフルモデルチェンジした「スズキRGV250Γ」
そのネイキッドバージョンである「WOLF」である。
ひとしきり写真を眺め回した後、記事を読む。
「2時減速比をRGV250Γより加速重視の設定にし、ストリートや街中で・・・」
「大径310mmのシングルフローティングディスクと異径4ポットキャリパーは・・・」
読めば、読むほど私の使用目的にぴったりだ。
主要諸元に目を移す。
最高出力 45PS/9500rpm、最大トルク 3.8kg-m/8000rpmで乾燥重量は125kg。
最高出力、最大トルクもさることながら、MVXより乾燥で13kgも軽い。

その日以来、寝ても醒めても頭をよぎるは愛しい「WOLF」の面影ばかり。
だがしかし、あんな転倒、こんな転倒と阿呆な持ち主の所業に文句も言わず、
疲れた体に鞭打って好調を維持しているMVXの姿をかえりみると心は千々に乱れる。
『嗚呼、私はどうしたらよいのだろう?』
懊悩の日々がしばらく続いたある週末の晩、ソッと預金通帳を開いた瞬間、心は決まった。
「WOLF買〜おうっと」
翌日、「MVX押し歩き事件」以来、ちょくちょく行くようになったバイク屋に向かったのだった。

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2006.11.26 Sun
「そろそろ・・・」
OHによる中速域の蘇り、タンデムでのハンドリングの再発見と実りある?1987年も終わり
迎えた1988年初夏。
私は無事就職し、社会人となって数ヶ月。MVXの走行距離も30,000kmを越えた。
ということで、MVXからの乗り換えを考え始めた。
当時、私が乗り換えるにあたって決めていた条件は3つ。

1、最新の車体(フレーム、足回り等)に最新のエンジン。
2、カウリングは無し。
3、2スト250ccクラス。

この条件にあてはまる現行(当時)のバイクは、というとヤマハ RZRだけ。
200ccのヤマハ SDRという軽量でなかなかそそられるモデルがあったが、
SDRで正丸峠に来ていた人間に聞くと、燃料タンク容量が少なすぎてお勧めできないと言う。
400ccまで選択肢を広げると、ヤマハ FZ400Nやホンダ VFR400Zがあるが、
4ストだし、400だと車検もあるしで食指が動かない。
素直に妥協して、NSRかTZRを買ってしまえばきっと幸せになれるとも思うのだが、やっぱり嫌。
というわけで、『NSRかTZRのカウル無し仕様、出ないかな』と悶々としながら
MVXに乗り続けていたある日。
暇つぶしに入った書店で、何気なく手に取った「月刊オー○バイ」8月号(だったかな?)
お馴染みの膨大な広告ページをすっ飛ばし、パラパラと流し読みして辿り着いた真ん中あたり。
見開き2ページを使った写真が目に飛び込んできた。
『おお!これは!』
それは、まさに私の決めた条件にぴったりのバイク。
喜びのあまり、普段は立ち読みですませる「月刊オート○イ」を購入してしまったのだった。

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2006.11.25 Sat
MVX250F - 29 - 「再発見」
自分が慣れ親しみ、普通だと思っていた物事を第三者的な視点で見た時、
意外な発見があったりする。
そんな話をひとつ。

毎度のごとく正丸峠に走りに行ったときのことだ。
時刻は正午を過ぎ、正丸駅の茶屋に飯を食いに行こうということになった。
茶屋と行っても特別な料理があるわけではなく、メニューは駅の立ち食い蕎麦屋と
同じようなものである。
蕎麦とうどんばかりのメニューにカレーライスが追加された時は、「米が食える!」と
みんな狂喜乱舞したものであるが・・・茶屋の話はこれくらいにしておこう。
ということで、7台ほどで出発することになったのだが、なぜか私は常連の1人とタンデム。
彼が車で来ていたためか、MVXに乗ってみたいと言い出したためか経緯は忘れた。
とにかく、彼が運転、私が後ろに座るという形で出発。
前の方に観光の車がいるため、終始20km/h〜30km/h程度でゆっくり走る。
運転から解放され、すっかり行楽気分で景色を眺めていると彼が
「これ(MVX)怖いなぁ、凄く(前輪が)切れ込むぜ」と喋りかけてくる。
『同じフロント16インチなのに(彼はHBカラーのΓ)何を言ってんだか』
景色に気を取られながら「へぇ、そんなに切れ込むかね」と答えると
「いいか、よく見てろよ」妙に真剣な声音で彼が促す。
さすがにおちゃらけるわけにもいかず、彼の背中ごしにステアリングを眺める。
コーナーが近づき、彼が車体を軽くバンクさせる。
当然セルフステアが働き、ステアリングが切れていくわけだが、
「え!?」
車速、バンク角と釣り合わないくらい内側にグイッとステアリングが切れ込み、
MVXはイン側の山肌へ突っ込む方向に向きを変える。
「どう?凄いべ」勝ち誇ったように彼が言う。
たしかにVTに乗り始めた頃にその傾向を感じたことはあったが、まさかここまで
フロントが切れ込んでいたとは。
彼が「怖い」と表現したのも素直に頷ける。
『なるほど、視点が変わるとこんな発見があるのだなぁ』とつくづく関心した
タンデム走行だった。

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2006.11.24 Fri
埼玉県警、新型バイク導入「カブとは違うのだよ!カブとは」
黒塗りのカブやCDといったビジネスバイクでパトロールするお巡りさん。
誰でも一度は見た事があると思う。
そのトコトコと走る様は、ある意味平和的でもある。
だが、いざという時の機動力はいかがなものであろう?
街で見かけた限りでは、どのバイクも古くスピードもあまり出そうにない。
例えば、原付2種スクーターを追いかける場合など相当苦しいのではないだろうか?
だが、そんな疑問に対する回答を既に地元の埼玉県警は用意していた。
そう、新型バイクの導入である。
その新型バイクとは「SUZUKI ADDRESS V125」

20061124164452.jpg

20061124164434.jpg

断っておくが、ネタではない。正真正銘の事実である。

現在の配備状況は各警察署2台程度だが、順次増車の予定だという。
また、この車両の撮影許可を取る際に応対して下さったお巡りさん
「今まで(のバイク)よりも格段に機動力が上がり、楽になりました」
と自信の一端をのぞかせる。
街乗り最強とも言われる125ccスクーター。
きっと今まで以上に犯罪検挙、抑止に活躍してくれることだろう。
最後に。
快く、写真撮影の許可を下さった新座署の課長さん、忙しい中、親切かつ丁寧に
応対して下さった志木駅南口派出所のお巡りさん御二方に厚く感謝いたします。

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2006.11.23 Thu
Google Earthも楽しいけれど
最近ふとしたきっかけで知った、

「国土情報ウェブマッピングシステム(試作版)」
http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS2/WH_WebGIS_np.html

この中の空中写真閲覧サービス(国土画像情報閲覧システム)が、なかなか面白い。
ひとことで言えば「日本版Google Earth(劣化版)」
と言ってもGoogle Earthのように「おお!」と驚くような機能は無い。
縮尺1/8000〜1/10000の至って普通の航空写真である。
だがこの閲覧サービスの面白味は過去の画像が見られるところ。
地域にもよるのだろうが、私の住んでいる地域を例に上げると、
昭和49年、54年、59年、平成元年と、ほぼ5年おきの航空写真を見る事ができる。
それを見ると、自分が思っていた以上に地域が変わっていて驚いたり、時に懐かしんでみたり。

「Google Earth」でバーチャル海外旅行?も楽しいが、身近な地域の移り変わりを
じっくり眺めるのも、乙なものである。

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2006.11.22 Wed
MVX250F - 28 - 「丘〜を越え〜♪」
バイク屋まで、あと1kmに迫った私の前に現れた障害物。
それはえんえんと続く「坂」
思えば、チャリンコ通学だった高校時代からこの坂には悩まされた。
が、まさか高校を卒業し、バイクに乗るようになってまで私を悩ませるとは。
思わず坂の手前でMVXを停めて歩道に座り込んで暫し休憩。
汗で湿った革ジャンの裏地があっという間に冷え、体が徐々に強ばってくる。
このまま休んでいても状況は悪化するだけだ。
屈伸をしながら気合いを入れ直し坂道に挑む。
「坂を越えたらバイク屋、坂を越えたらバイク屋」
他の事を考えないように、それだけをつぶやきながらただただ押す。
ほんの少し上っただけでさっきまで引いていた汗が今まで以上に噴き出し、
坂の真ん中あたりで足がブルブル震え出す。
だが、ここで止まるわけにはいかない。
周りを見る余裕もなく押していると、フッと抵抗が消え無重力状態になったかのように
MVXが軽くなる。やっと坂を上りきったのだ。
あとは平坦な道が数100m残るだけ。もう障害物はない。
やがて「YAMAHA」の大きい看板が見えて来ると同時に自然と足が早まる。
そして、バイク屋に到着。日はとっぷりと暮れ、すっかり夜になっている。
「どうしました?」
状況を説明すると、
「その症状だと電気系だね。まずはバッテリーから診てみよう」
テスターで電圧を測るがかなり低い数値。
そのバッテリーは充電することにして代わりのバッテリーをMVXに取り付け
エンジンをかけてみるとキック1発で始動。
軽くバイク屋の周りを走ってみるが、何の異常もなく好調そのもの。
どうもバッテリーが原因のようだ。
結局、この日は代わりのバッテリーを借りて帰ることになった。
翌日、50kmほど走って異常が出ないことを確認してからバイク屋に向かう。
店に着くと、社長が開口一番
「あのバッテリーはもうダメだね。20時間充電かけたけどまったく充電されない。
今回のトラブルもバッテリーだね。まぁ、他にトラブルが波及しなかっただけ良かった」
というわけで、バッテリーを交換。その後、トラブルは一切出なくなった。

この一件で「行きつけのバイク屋」の必要性を強く感じた私は、暇を見つけては
このバイク屋に行くようになった。
だが、まさかこのバイク屋と現在に至るまでの付き合いになるとは思っていなかった。

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2006.11.21 Tue
MVX250F - 27 - 「歩こ〜う♪歩こう♪」
OH(オーバーホール)の効果に酔いしれてるうちに正丸峠は冬を迎えた。
また春が来るまでしばらく峠通いはおあずけ。
そんなある冬の日、私は特に目的もないままMVXで近所を徘徊。
だが、街乗りだけだとどうも物足りない。ちょっとでいいからくねくね道を走りたい。
冬の遊び場である○○のコーナーに行きかけたが、ふっと頭に嫌な思い出が蘇る。
それは、初代MVXを廃車にした事故のこと。あれは○○のコーナーへ向かう途中の出来事。
革ジャンにGパンという街乗りの格好だし、このまま家に帰った方が良い気がする。
MVXを路肩に停めてしばらく逡巡するが、体の中から沸き上がる衝動が抑えられない。
『そうそう事故ることもなかろう』と根拠不明な結論のもと、○○のコーナーへ向かう。

○○のコーナーに到着すると先客が5台ほど走っている。
彼らと絡まぬようにしてまずは下見。
相変わらず一部のコーナーは畑の乾いた土が路面を覆っているが、
そこだけ気をつければ問題はなさそう。
タイヤのグリップに気を使いながら往復を始める。
5往復ほどしてやっとタイヤが暖まり、本来のグリップが感じられて来た。
が、服装が服装なので通常の6割程度のペースで適度に楽しむ。
ふと気付くと、走っているバイクは私だけ。
お日様も大きく西に傾き、気温もかなり下がってきたようだ。
そろそろ帰ろうと、途中でUターンして戻り始める。
すると突然タコメーターの針が凄い勢いで上下に振れ、その直後にエンジン停止。
何が起きたか理解できぬまま、とりあえずキックペダルを引き出しエンジンをかける。
3度目のキックでエンジンはかかったが、アイドリングなのにタコメーターの針が
いきなり9000回転を指したかと思うと、またエンジン停止。
今度はニュートラルランプ等のランプ類からライトから灯火類が一切点灯しない。
何が起きているのかわからないまま、ひたすらキックペダルを蹴るがエンジンはかからない。
ならば、と押し掛けを何度も試みるがそれでもエンジンはかからない。
カブってしまったかとプラグを外してみるが、3気筒すべてきれいなキツネ色だ。
付近は民家もなければ公衆電話もない。携帯電話など存在していない時代ゆえ、
連絡の取りようがない。車でも通りかからないかとしばらく待ってみたが、車どころか
人っ子ひとり通らない。
どうしようと悩んでいる時、ふと後輩が以前教えてくれたバイク屋を思い出した。
私の家まで10数kmだが、そのバイク屋までなら5kmくらいだ。
『よし!バイク屋まで押して行こう』
ヘルメットをメットホルダーに掛け、MVXを押しながら歩き始める。
「バイク屋、バイク屋」とつぶやきながらひたすら歩く。ほんの1km程度で全身汗みどろ。
思わず脱いでしまいたくなるが、脱げばすぐに体は冷えきり風邪をひく。
べとつく裏地が、気持ち悪いが、ただ歩くことだけに集中する。
そして、ようやくバイク屋まであと1kmほどまで来た時、思わぬ障害が私の前に現れただった。

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2006.11.20 Mon
MVX250F - 26 - 「OHの効果は?」
OH(オーバーホール)完了予定日。
バイク屋から連絡はないが、とりあえず見に行こうと「ひまわり1号」に乗りバイク屋へ。
店に着くと、OHが終わったのか、MVXは店の前に出されている。
「こんにちは」声をかけながら店内に入ると
「おう、できあがってるよ」と店主。
「どうでした?」
「うん、ピストン、シリンダーは交換するほど減ってなかったんでリングだけ交換。
ただ、ワイヤーが伸びてたんでクラッチとアクセルワイヤーは交換しといた。
それとキャブレターの掃除。そんなとこかな」
「そうですか。ピストンとシリンダーは、あとどのくらいいけそうですか?」
「そうねぇ、あの感じだとあと1万kmくらいは大丈夫じゃないかな?」
そんな会話をして、今回の代金を払う。
「また何かあったら寄ってね」店主の言葉に送られながら、ゆっくりと道路に出る。
『さて、どんな感じかな?』
いちおう回転は抑えめにしながらあっちこっちをふらふらさまよう。
なんだか、加速が良くなったような?
とりあえず、その日は慣らしということであまり考えず距離だけ稼いで終わった。

翌日。
そろそろ良いだろうと判断し、パワーバンドを使って走る。
各ギア(下道なので3速までだが)のトップスピードは変化無し。だが、以前よりも
トップスピードに至る時間は確実に短くなったような気がする。
ただ、パワーバンドに入ってからのトルクの盛り上がりが薄れてしまったような。
でも、盛り上がりが薄れたと感じるのは中速域のトルクが蘇ったからではないだろうか?
そんなことを考えながら家に帰ると、どこで聞きつけてきたのか後輩が遊びに来て
「あがてさん、オーバーホールしたんですって?乗らせて下さいよ」とのたまう。
彼はOH直前のMVXに乗った唯一の他人。彼の意見も聞いてみたい。
「いいよ。乗ってみて」彼にMVXのキーを渡す。
「それじゃ、いってきます」
15分ほどして彼は帰って来た。シールド越しに私を見る顔がニコニコしている。
「あがてさん、これ凄く中速が出てるね。前よりも絶対いい」
やはりそうか。中速(中回転域)のトルクが低下してトルクの谷間になっていたから
パワーバンドの盛り上がりがより強く感じられていたのだ。
と、街乗りだけでも効果が体感できたのだが、より体感できたのは峠。
今まで、半クラを当ててコーナーを立ち上がる状況も往々にしてあったのだが、
そんな小細工をせずとも必要な加速が得られるようになった。
おかげで精神と車体、両方の負担が減ったり、といいとこ三昧。
そんな十分満足できる効果が得られたOHであった。

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2006.11.19 Sun
MVX250F - 25 - 「怪しい代車」
総走行距離25,000kmを迎えた(購入時点の走行距離8.000kmが正しいと仮定して)我がMVX。
さすがに、少々パワーが落ちてきたように感じてきたので腰上オーバーホールを決意した。
と言っても知識、工具、気合い、全てに欠けているので自分でやる気はない。
毎度お馴染みのホンダSFは、メーカー直系だけあって違法改造車は受け付けない。
さて、どこに出そうか?
周囲のバイク乗りに相談すると数人から「あそこがなかなかいいぞ」と勧められる。
「あそこ」とは、私がCB50を手に入れた時にヘルメットを買いに行った店。
RZ系がメインとは言え2ストにはめっぽう強く信頼できると皆、口を揃えて言う。
そのうえ、私の家からバイクで5分。代車が無いとしても楽に徒歩で帰れる距離。
ということで、早速その店に行き腰上のオーバーホールを相談、依頼する。
話が終わり、「代車ってありますか?」と尋ねると、
「あるよ。ちょっと待ってて」と言い残し、店の裏手に消えた。
しばらくして「とりあえず、これに乗ってて」と出してきたのはホンダVF400F。
VF400F.jpg

だが、画像のようなノーマルではない。
ハンドルは微妙に内側、かつ、斜め上に絞られたいわゆる「鬼ハン」仕様で、ハンドルには
右がショッキングピンク、左がスカイブルーと左右違う色のグリップが装着されており、
マフラーは、SP忠男(たぶん)の右2本出しメガフォンタイプ。と怪しい雰囲気満点である。
おそるおそる跨がると、さらに追い打ちをかけるように
「そのバイク、明々後日に車検切れるから明後日には持って来てね。他の代車出すから」
うーん、怪しすぎ。だが、贅沢は言えないので店主の言葉に頷いてエンジンをかける。
思いのほかエンジンは好調のようで、セルが回るか回らないのうちに始動。
だが、うるさい。深夜にこれで走ったら石を投げられるだろう。それくらいうるさい。
内心『まいったなぁ』とげんなりしながら店を出た瞬間『おや?』
低回転域から凄い勢いで加速する。その印象は高回転になっても変わらない。
見た目と全然違い、えらいパワーが出ているようでアクセルを開けるのがとても楽しい。
楽しいのだけれど、うるさい。どうしたら良いか困ってしまう。

うるささと楽しさの狭間に悩む2日間を過ごし、VF400Fを返しに行く。
MVXはエンジンを開けたところで、これから摩耗具合の測定に入ると説明を受けた後、
新たな代車を受け取る。
その代車とはスズキ「薔薇」400ccから原付に排気量ダウンである。
しかも「薔薇」なのに、車体にはマジックペンの手書きで「ひまわり1号」とある。
店主の好きな花が向日葵だからなのか、それともバラに嫌な思い出でもあるのか。
1号ということは代車「ひまわり」は複数あるのか。
数々の疑問は浮かぶが、それを店主に問う勇気もなく、「ひまわり1号」で帰宅したのだった。

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2006.11.18 Sat
MVX250F - 24 - 「隠蔽失敗」
季節は忘れたが、「うららかな」という言葉がぴったりなある日。
私は学校へ向かうべく慢性渋滞の道の左端をトコトコとすり抜ける。
私の10mほど前方には1台の原付スクーターが同じようにすり抜けている。
適度に速いペースなので、私は彼の後をおとなしくついて行くことにする。
スクーターと私の平和なツーリング?がしばらく続き、前方に交差点が見えて来た。
私達の進行方向の信号は赤。だが、交差する道路の歩行者信号は赤に変わるところ。
私達が先頭に出るころに信号が変わりそうな微妙なタイミングだ。
その上、先頭で信号待ちしているトラックは左折のウインカーを出している。
私ならば、無理に先頭に出ずに車の間に入れてもらうが、スクーターはそのまま走って行く。
スクーターがトラックの斜め後ろに到達したあたりで信号は青になり、トラックは左折を開始。
スクーターはあわてて減速するが、トラックと接触。
トラックが曲がる速度に合わせているかのようにゆっくりと傾いていく。
思わず私がホーンを鳴らすと、その直前に気付いたのか、ホーンの音で気付いたのか?
完全に巻き込む前にトラックは停止。だが、スクーターは完全に転倒。
私はMVXを停めて、駆け寄る。同時にトラックの運転手も飛び出して来る。
スクーターの兄ちゃんはショックのためか足を抱えてうずくまったまま。
声をかけてもウンウン唸るだけでまともな会話にならない。
とりあえず、公衆電話を捜し(携帯電話のない時代だからねぇ)通報。
現場に戻り、まともに喋れるようになった兄ちゃんを励ましているうちに救急車到着。
そのままスクーターの兄ちゃんは救急車で運ばれ、現場にはトラックの運転手と私が残された。
「いつも気をつけてたはずなのに。どうしてこんなことしちゃったんだろう」
「いろいろご迷惑かけてすみません」
頭を下げて私に謝るその姿に同情を禁じ得ない。幾つか慰めの言葉をかけながらふと我に返る。
私のMVXは、セパハンにバックステップ付き。どこから見ても立派な違法改造車である。
現場検証ついでに警察から青い色紙や是正命令書なんぞ貰った日には泣くに泣けない。
かと言って、このまま逃げ出したらトラックの運転手が可哀想だ。
とりあえず一番目立つ金色のハンドル部分に着ていた革ジャン脱いでかぶせる。
これできっと大丈夫だろう。ちょっと安心したところに自転車に乗った警官2人が到着。
「トラックとバイクの事故ってここですね」と尋ねてくる。
「はい、そうです」
「で、これが被害者のバイクだね」
なぜかスクーターには目もくれず、一直線に私のMVXに歩み寄る。
「いや、これは私ので被害者のバイクはあのスクーターで私は事故を目撃したので・・」
おろおろと答える私に
「そうか、で、このジャンパーは君のかな?」
「はい、そうです」
「ふーん、そうか。ちょっとジャンパーを取ってみてくれるかな」
「は、はい」しかたなくジャンパーを取る。つたない隠蔽工作も、もはやこれまで。
「ほう、ハンドルを換えているんだね」ニヤリと嫌な笑みを浮かべる警官。
「えぇ、つい先日転倒しちゃって部品が来るまでの間に合わせで」苦しい言い訳をする。
「ふーん、だからカウルも付いてないんだね」と言いながらじっくりとMVXを眺めまわす。
『これ以上は気付かないでくれ』必死の願いも空しく
「おおっ!ステップも換えてるんだ」怯える私にとどめを刺す。
嗚呼、万事休す。もう青切符でもなんでも切りやがれ!と思っていると
「どう?乗りやすい?」と意外な質問をしてくる。
「え、まぁ、乗りやすいですよ」思わぬ展開に戸惑いながら答えると
「そうか。ま、気をつけて乗ってね。バイクの事故は多いから」
「はぁ、わかりました。気をつけて乗ります」
「うん。で、事故の状況なんだけど」いきなり事情聴取に切り替わる。
もしや、お咎めなし?期待と不安がぐるぐると私の中で渦巻く。
事情聴取が終わり、ビクビクしていると「では、これで結構です。気をつけて」と警官。
『助かったぁ』
言い知れぬ暖かい安堵感に浸りながら、ゆっくりとMVXに乗り出発。

お咎めなしで済んだのは良かった。
だが、私のMVXは第三者から見れば事故車にしか見られないのだろうか?
ちょっと憂鬱になった事件?であった。

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2006.11.17 Fri
MVX250F - 23 - 「TEAM MVX」
20061117175602.jpg

一時は6台まで増えたMVXもいつの間にか半減し、3台だけになった。
そんな、ある週末のこと。
MVX談義で花を咲かせているときに1人がこんなことを言い出した。
「せっかくだから、チームMVXってことで何かお揃いの物でも作らないか?」
それは良い考えだと、満場一致でその提案は可決。
では、何を作ろうか?
トレーナーやTシャツは、なにか荷が重いし数も少ないので高くなりそう。ということで却下。
となると、ステッカーかワッペンあたりが妥当だろう。
ということで、言い出しっぺがとりあえず原案を作ることを決めてその日は終わった。

そして一週間後の週末。
いつもの場所にMVXを停めると、言い出しっぺが近づいてきて
「こんな感じのデザインでいいかな?」とデザイン案を私に差し出す。
「どれどれ?」案を見る限りでは、なかなか素敵な感じ。
と、ちょうどそこにもう1人がやって来たので、すかさずそのデザイン案を見せると、
彼も「いいねぇ、これでいこうよ」と満足そう。
これで、デザインは決定。あとはステッカーにするかワッペンにするか。
言い出しっぺによると、ステッカーはまとまった数量でないと難しく、仮に作ったとしたら、
私達3人、北は北海道から南は九州まで「TEAM MVXステッカー販売の旅」に出ることになりそう。
だが、ワッペンなら知り合いがその手の仕事をしているので3枚だけでも作ってくれると言う。
残念ながら私達には行商の旅にでる旅費も気合いも無い。
ということで、言い出しっぺの知り合いにワッペン作成を依頼することに決定。

そして2週間の時が過ぎた週末。
「できたよ」と言い出しっぺが私に茶色の封筒を手渡す。
さっそく封筒からワッペンを取り出して見てみると、思っていたより豪華。
刺繍のせいなのか、デザインより字体が角張っているのが残念だが色は綺麗だ。
裏には両面テープが仕込んであり、ビキニカウルのスクリーンに貼ることになっていた。

20061117175634.jpg

こうして「TEAM MVX」は細々とした産声を上げたのだが、まとまって走ることもなければ、
峠に現れる時間もてんでんばらばら、一緒にツーリングにも行くこともない。
およそ「チーム」とは名ばかりの集団(と言っても3台だけだが)であった。

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2006.11.16 Thu
MVX250F - 22 - 「束の間の増殖」
私がMVXで正丸峠を走り始めた頃、すでにMVXは生産終了後2年が経過しており、
街でMVXを見かけることもほとんどなくなっていた。
正丸峠も例外ではなく、元々2st勢は圧倒的にヤマハが多いこともあり、
私以外のMVXを見る事はなかった。
だが、その年の夏に常連の1人がMVXに乗り始め、それから1、2ヶ月後にまた1人、
そしてまた1人・・・と徐々に増え、最終的に私も含めて6台まで増殖した。
嬉々として乗っている私自身が言う事ではないが、なぜ増殖したのかわからない。
単に馬力という点では既に全メーカー45馬力のマシンが出ているのだから違う気がする。
世界(たぶん)唯一のV型3気筒エンジンという希少価値だろうか?
それともF16インチの切れ込み加減だろうか?
それとも車体のデザインだろうか?
1人で鬱々と考えていても体に悪いので率直に、MVXに乗っている人間に聞いてみた。
彼らの答えはほぼ1つに集約された。その答えとは
「そこそこ速くて安いから」
真理である。
発売後、半年ほどで新車価格が暴落したMVX。当然のことながら中古車も安いのだ。
どのくらい安いかと言うと、程度の素晴らしい物でもギア付き50ccの新車価格未満。
それでいて、相手の技量にもよるが最新型バイクに十分太刀打ちできる性能。
そんな所が、正丸峠におけるMVX増殖の原因だったのだろう。
とは言っても、年の初めにデビューした新型バイクが翌年には旧型になってしまう時代。
「安さ」を武器に破竹の勢い?で増殖したMVXも6台より増えることは無く、やがて
1台、また1台と乗り換えられていき1987年中頃には3台に減ったのであった。

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2006.11.15 Wed
大型ミサイル襲来
その場、その時はなんとも思っていなかったが、後で振り返ると大変危険な状況だった。
なんて体験は誰しも一度くらいはあるのではないだろうか?
そんな話をひとつ。

このブログで何度も出てきた正丸峠のいつもの待避所。
いつものように私たちは道が空くまで、時間つぶし。
日が西に傾くごとに、車、バイク、ハイキングの歩行者は少しずつ正丸峠を去っていく。
「さぁて、そろそろ私らの時間かねぇ」
「う〜ん、もう少し待ちましょうや」
逸る気持ちを抑えながら、地面に座り込みひたすら雑談に興じる私たち。
やがて、お日様はすっかり沈む準備を整え、夕暮れの気配をあたりにまき散らす。
頂上を占領していた観光者の車も全て帰り、走っているバイクも数台だけ。
ハイキングの歩行者の姿も消え去った。
「さぁて、行くか」すっかり根の生えた重い腰を上げようとしたら、バイクよりも
確実に低い排気音とタイヤの鳴く音が聞こえてきた。
木立の隙間から姿を現したのはAE86スプリンタートレノ。某有名豆腐店の社用車だ。
結構なペースで飛ばしているが、このコーナーのRをわかっているのだろうか?
私の隣に坐っている奴が「なんか、危ないな」ボソッと呟いた瞬間、
「わぁ!」「逃げろ!」
ひとつ手前のコーナーを車体を揺るがせながら立ち上がったトレノは制御不能のまま
こちらに突っ込んで来る。
わたわたと逃げる私たちの横をかすめて、待避所のガードレールに「ドーンッ!」
車は某有名豆腐店の社用車と同じだが、運転技術は豆腐店の息子の足下にも及ばないようだ。
無事逃げられた私たちはしばらく遠巻きに眺めていたが、爆発とかの危険はなさそうだ。
注意深くトレノに近づくと、ドライバーが転がる様に出て来て「申し訳ありませんでした」
と連呼する。
その姿に怒りの言葉をあえて呑み込み、トレノを見るとあら不思議というかなんというか。
綺麗にガードレールと縁石の間にフロントウインドウの手前まで嵌っているではないか。
「おお!すげぇ」「レビンだったら逝っちゃってたよな」そんな言葉が周囲から洩れる。
だが、関心している場合ではない。このトレノをなんとかしなければなるまい。
とりあえず、最初にバックで脱出しようとするが前輪が縁石に引っかかり脱出不能。
ならばと、腕っ節の強そうな連中5人でフロントを思いっきり押しながらバック。
だが、それでも前輪は縁石を越えられない。
ということで、ガードレールを外してみることに決定。
だが、ガードレールを留めているボルト、ナット径はかなりでかい。バイクや車の車載工具で
合う物など皆無なのだが、こういう場には創意工夫の才に恵まれた人間がひとりはいるもので
時間はかかったが、ボルト、ナットを緩めることに成功。
ガードレールを取り外し、邪魔にならない所まで運んだ後、トレノの前部に集まる。
トレノがバックするのに合わせ、「せーの!」で押す。
1回目は失敗。だが、あと少しという感じだ。気合いを入れ直してまた「せーの!」
と、縁石を乗り越える感触が伝わり、無事脱出成功。
「やったー!」歓声が上がり、なんだかわからんが隣で押していた奴と握手を交わす。
「みなさん、本当にどうもありがとうございました」
礼を言いながらトレノは去って行く。
「気をつけてなぁ」「二度と来るなよぉ」手を振って見送る私たち。
トレノの姿が消え、ハッと我にかえると日はとっぷりと暮れ、すでに走れる時間ではない。
「あーあ、あのバカのせいで走れなかったわ」
「で、外したガードレールどうする?」
「このまま放置ってわけにはいかないよなぁ。戻そう」
一時の高揚感も消え、がっくりと肩を落としながら重いガードレールを取り付け、
「それじゃ、また」「あぁ、また来週」
そんな挨拶をかわしながら三々五々家路につく。

帰宅してボーッとしているとトレノが突っ込んできた時の光景が蘇ってきた。
逃げる私の1mほど脇をすっ飛んでいく白い車体。
もし、逃げるのが数秒でも遅れていたら・・・・
その晩、車に轢かれる悪夢に悩まされたのはいうまでもない。
この翌週から、私は待避所に停めることを避けるようになったのだった。

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2006.11.14 Tue
伝説のチューナー
「伝説のチューナー」
某漫画などで目に、または耳にした人は多いと思う。
時に繊細に、時に大胆に、耐久性を加味しながらベースの潜在能力を最大限に引き上げる。
機械を知り尽くし、機械と語り合い尽くした者だけが得られる称号。
そんな称号を持つ者がパソコンの世界にも存在すると知人から聞いた。
実際、知人が自分のPCをチューンアップして貰ったところ、最上位機種に引けを取らない
ほど性能が向上したという。(知人のPCは最下位機種)
当然、幾つかの部品が交換されているのだが、明細に記載されている部品だけでは
到底そこまでのレベルにはいかないともいう。
俄然、興味をひかれた私はその「伝説のチューナー」に会ってみたいと知人に頼んだ。
だが、普段だったら二つ返事で私の頼みを引き受けてくれる知人は難色を示す。
なんでも「伝説のチューナー」は、たいへん気まぐれで警戒心が強く、門前払いにあった
人間は星の数ほどもいると言う。
「そこをなんとか、頼む」
私は恥も外聞も無く、土下座して知人に頼み込む。
そんな私の姿に呆れたのか、哀れに思ったのか。「会える保証はできないからな」と、
知人は何かを書きつけたメモ用紙をヒラリと私の頭上に投げ落とす。
「ありがとう!」
「ったく、お前にゃ負けたよ。せいぜいがんばりな!」
苦笑いしながら知人は去って行った。

その3日後。
私は、知人から貰ったメモ用紙を頼りに都内某所を歩いていた。
「あ、ここか」
これといって特徴の無い一戸建ての民家だ。
高鳴る動悸を押さえながら、ドアの横にあるインターフォンを押す。
「はい」返ってきたのは若い男性の声。
「突然、お邪魔して申し訳ありません。実は○○(知人)に紹介されて参りました・・・」
しばらく間をおいて、ドアが開いた。
出てきたのは想像通り20代とおぼしき男性。彼が「伝説のチューナー」か?
「お忙しいところ申し訳ありません。私・・」と言いかけると
「シィーッ!」と遮られる。
「ただ今、先生はお仕事に入られてます。お静かに」
先生?ということはこの男性は弟子か何かだろうか?私の疑問を察したのか彼が言う。
「私は先生の下僕です」
「下僕?」理解できない私を気にすることもなく彼は平然と言葉を続ける。
「先生とお話しすることはできませんが、仕事を見学することならできます」
なんだか危なそうだが、ここまで来て帰るのも勿体ない。せめて見学だけでもしよう。
彼について家に入る、2階の部屋の前で立ち止まる。いよいよ「伝説のチューナー」との対面だ。
下僕?の彼がソッとドアを開け、「先生です」私に囁く。
『え!?この方が先生?伝説のチューナーなのか!?』
先生は、マザーボード?のチューンアップの検討中のようだ。その厳しい視線が
「伝説のチューナー」であることを雄弁に物語っている。

20061114211813.jpg


『これじゃ、話はできないな』
私は納得してドアを閉め、ほんの少しの脱力感と共に伝説のチューナーの家を後にした。

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2006.11.13 Mon
MVX250F - 20 - 「変容 3 」
「ビキニカウル、邪魔だから取っちゃいましょ」
後輩のあっけらかんとした物言いに思わずうなずきかける私。
だが、ちょっと待て。ウインカーはどうするのだ?
以前の記事に載せた画像でおわかりのようにMVXのウインカーはビキニカウルに
ビルトインされており、カウルによって押さえられている。
ということは、カウルを撤去してしまうとウインカーはぶらりと垂れ下がる。
ことはないだろうが、防水やら外観上やら甚だ面白くない結果となる。
その懸念を口にすると
「だいじょぶ、だいじょぶ。他のバイクのウインカー使えばいいから」
なんと脳天気な回答だろう。
だが、脳天気な答え以上に引っかかるのは『他のバイクのウインカーを使う』という言葉。
私の脳内には、深夜、道端に停まっている他人のバイクに忍び寄り、ニコニコしながら
ウインカーを盗む拝借する後輩。そして、その脇で暗い顔をして周囲を見張る私。
という構図ばかりが鮮やかに浮かんでくる。
とてもじゃないがそんな事はできない。首を横に振る私に、後輩は容赦なく
「じゃ、これから俺のRZで出かけましょ。運転は任せたから」とのたまう。
嫌だ。犯罪の片棒なんて担ぎたくない。と思いながらも気付いたときには、
なぜか後輩を後ろに乗せて大通りを疾走していた。

「ここは直進」「その先を右に曲がって」
後輩の指示にただ従い走り続ける。どこに行くのか?何を目指しているのか?
やがて人気の無い所に出ると「じゃあ、ここで停まって」
RZ250Rを停める。目の前に広がるのは原型を留めていない車とバイクの山、山、山。
そう、そこは解体屋であった。
オドオドと足を踏み入れる私。だが、後輩は馴染みの場所とばかりにタッタカ歩いていく。
そして、壊れた椅子の上に置かれた段ボール箱の前で足を止め中を覗き込む。
後輩の肩越しに段ボール箱を見ると、大小様々なバイクのウインカーが入っている。
その中からMVXのFフォーク径に合いそうなウインカーを取り出し、傍に立っている
店主らしきオッサンに許可を貰い、RZ250Rで合わせてみるとぴったりだ。
それと同じで程度の良さそうな物を左右選んでオッサンに「これいくら?」
オッサンは私達が差し出したウインカーを吟味して
「線もちゃんとあるし、ボルトも付いてるから両方で1,500円だな」
多少汚れてはいるが無傷のウインカーがセットで1,500円とは安いではないか。
店主の気が変わらないうちにと、さっさと1,500円也を支払って退散する。

後輩の家に戻り、ビキニカウルとウインカーを外す。
だが、ここでまたひとつ些細と言えば些細な問題が。
タコ、スピード等が収納されているメーターボックスが白色なのだ。
周囲が黒とか無塗装のくすんだ鉄色の中で異様に目立ってしまい、とても変だ。
しかも転倒のダメージを喰らっていて少し亀裂も入っている。
メーター類を全部取り出してボックスを塗装する事を考えたが面倒くさい。
こうなりゃ自棄だと、持ち出したのが黒の絶縁テープ。
これをきっちりムラの無い様にグルグルと巻き付ける。
巻いた結果は・・・中々に良い仕上がり。さすがに近くでじっくり見られるとバレるが、
ちょっと離れて見る限りではとてもテープを巻いただけとはわからない。
その出来映えに満足して買ってきたウインカーをFフォークに装着して線を繋ぐ。
ウインカースイッチを入れるとこれまた問題なく動作する。
むき出しのカウルステーも、見ようによっては迫力がある。ような気がする。
そして、ハンドルの開き角度を調節してマウントボルトを締める。

さて、ここまで手伝って(ほとんど後輩がやったのだが)くれた後輩にお礼でもと、
彼をガレージに残し、近所の自動販売機に出かける。
飲み物を買って戻ると、MVXのシートを外しゴソゴソと何かやっている。
「なにやってるんだい?飲み物買ってきたから飲もうぜ」声をかけると
「ちょっとサインをしてました」
サイン?なにそれ?と見ると、シートの台座に開いている2つの穴を目に見立てた
人の顏の落書きが描かれているではないか。
「どう?これ、凄いでしょ」
目を輝かせて、子供が母親に自慢するように言ってくる後輩。
「はいはい。よく描けました」
もう怒る気にもなれず、そう答えるのが精一杯。

こうして、「私仕様」のMVXが完成したのだった。

そうそう、文中で私と後輩が犯罪に手を染めているような記述があるが、
私も後輩もそれに類することは一度たりともしていないので誤解されないようお願いします。





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